5月末、とても良い天気だった。

朝、繁殖雌馬の疝痛の依頼。 しかし、予定の手術をすましてしまうことにする。 それは、5歳競走馬の繋靭帯炎による第4中手骨骨折。 吸入麻酔で手術しようと思っていたが、手術室を空けておくためにレントゲン室で静脈麻酔で手術することにした。 麻酔も術野準備も術中X線撮影も手早くやってくれるので大丈夫。 - 繁殖雌馬は痛みが治まらず、開腹することになった。 小腸が大結腸に巻きついて絞扼していた、とのこと。 私は、他の患畜の対応でほとんど観ていない。 - 開腹手術の間に来たのは、急患で1歳馬の後肢の外傷。 ひどく大きな傷ではないが、後肢なので全身麻酔して縫合しなければならない。 もう1頭は、腹膜炎の繁殖雌馬17歳。 今年は死産している。もう種付けはしない。 あきらめて剖検したら葉状条虫によるものだったようだ。 - 覚醒室で寝ている開腹手術馬を交替で観ながら短い昼食。 1時からは予定の関節鏡手術。競走馬の腕節骨折。 その最中に、子宮穿孔の繁殖雌馬の診察。 4日前に分娩していて、来院してからの血検でPCV68%。口粘膜はチアノーゼ重度。 この馬ももう種付けする予定はない。 そして、状態が悪すぎる。 剖検したら、腹腔内もひどい状態だった。 - 3時に子宮穿孔を疑う別な繁殖雌馬の来院。 2日前の分娩。 まだ子宮が大きく、子宮角先端までは触れなかった。 この馬もPCV68%。 この馬はまだ9歳。厳しいが開腹して腹腔洗浄することにした。 開腹したら汚い腹水があふれでた。 この馬は術前の超音波検査でも特異的に腹水が多かった。 左子宮角先端の穿孔だった。 特別大きい穿孔ではないが、タイミングで羊水が大量に腹腔へ入ったのだろう。 - 胃液が術中に鼻から出てきたし、血圧は30台。 両方の頚静脈を使って輸液して50台になった。 術後覚醒室で立ち上がったが、また倒れてしまった。 数段に分けて息を吐くおかしな呼吸とうめき。 入院厩舎に準備していた輸液を覚醒室へ持ってきて持続点滴を始め、 カルシウムを反対側の静脈から点滴し、ついでヴィタミンB入りのブドウ糖液を点滴し、重曹も点滴し、 1時間あまりで起立した。 - おわって、夜7時半。 さて今日は何頭来たでしょう? 何頭手術したでしょう? 何頭麻酔したでしょう? 毎年、春の記憶がないのは仕方ない。 だってその日のことさえ思い返せない;笑